ズーノーシスとは?犬や猫から人間にうつる人獣共通感染症

ズーノーシスは犬や猫を飼うならしらないとまずいかも

野生のきつねに注意!エキノコックス症は治療の難しいズーノーシス

エキノコックス症(包虫症・多包虫症)

エキノコックス症(包虫症・多包虫症)は、エキノコックス条虫が人の体内に寄生・増殖するズーノーシスです。

エキノコックス症は、紀元前400年頃には知られていた病気でした。

日本では、昭和12年に北海道出身の人から発見され調査が始まったそうです。

単包条虫、多包条虫の2種類がズーノーシスに関係するエキノコックス条虫であることがわかっています。

 

エキノコックス症の感染源

日本では、北海道のキタキツネが主な感染源です。

キタキツネの小腸に寄生したエキノコックスの卵が糞と一緒に排出されます。

これが、人の口に入ることで感染(経口感染)します。

最近は、野ネズミや放し飼いにされたイヌにまで感染が広がり問題になっています。


エキノコックス症の症状

体内で幼虫になったエキノコックスは、肝臓に寄生し白っぽいか塊になりガンのように見えます。

初期には自覚症状を感じることは少なく、進行するとお腹の痛みや張りを感じるようになります。

肝臓の他に、肺や脳にも寄生することがあり発見が遅れると治療が難しくなり死亡することがあります。

発見や治療が遅れた場合、エキノコックス症の死亡率は70%~90%ともいわれています。

 

エキノコックス症の予防

北海道の観光地では、人に慣れたキタキツネがエサをねだって寄ってくることがあります。

可愛らしいキタキツネですが、これらのキタキツネのうち2頭に1頭がエキノコックスに感染しているというコワイ調査結果があります。

キタキツネには触らないことが大切です。

キタキツネの住みかの近くで取れた野菜や山菜は念入りに洗ってから食べましょう。

Q熱という人獣共通感染症

Q熱とは?

Q熱は保健所に届出義務があるズーノーシスです。

国立感染症研究所のデータによると、1999年12人、2000年23人、2001年には40人と毎年数十例ほどが報告されています。

Q熱は、世界各国で増加傾向にあるズーノーシスで、都市部での発生例が多く報告されるようになってきました。

Q熱の感染源、症状、予防について

Q熱の感染源

Q熱はリッチケアの一種であるコクシエラ・バーネッティというが菌が原因で感染します。この菌は家畜・野生動物が保菌していて世界中に分布しています。

コクシエラ・バーネッティは感染した動物の、糞、尿、乳汁と一緒に排出されます。

この時に空気中に浮遊した病原菌を含む微粒子を吸引することで感染します。

今のところ日本での報告はありませんが、感染した動物の生肉や乳製品を摂取することで感染することもあるそうです。

※リッチケアとは― 細菌と同じような構造をしていますが、動物や人の細胞の中でしか増殖できないという特徴があります。


Q熱の症状

Q熱の症状は数十日の潜伏期間を経て、発熱・頭痛・肺炎といったインフルエンザのような症状が現れます。

2週間ほどで自然に治ることがほとんどですが、慢性化に移行すると治療が難しくなります。

慢性的な症状として、倦怠感や不定愁訴といった症状が挙げられます。

検査をしてもどこが悪いか分からないため、不登校うつ病自律神経失調症と診断されてしまうことが多いようです。

Q熱の予防

海外では獣医師などの専門家を対象にQ熱予防接種ワクチンが開発されていますが、日本にはワクチンはありません。

胎盤内で増殖する菌なので、動物の出産(流産)に立ち会う時は慎重に!

 

狂犬病は日本では撲滅!でも世界は?

狂犬病の症状や予防法について

狂犬病は、家畜伝染病予防法狂犬病予防法、感染症4類感染症に指定されているズーノーシスです。

日本では狂犬病の予防接種が広まり、1957年以降発生していません。しかし、1970年と2006年に海外でイヌに咬まれた日本人が、帰国後に狂犬病を発症し亡くなった事例があります。

世界では、年間5万人が狂犬病で亡くなっています。

特にインドや中国は狂犬病による死者数が多いことで知られています。その他、ネパール、メキシコ、フィリピン、タイ、ベトナムなどで流行しています。

 

アメリカでの狂犬病の主な感染源はイヌでしたが、2006年にオハイオ州でアライグマが感染源の狂犬病が流行したそうです。

毎年9月28日は世界狂犬病デーとして、狂犬病の意識を高めるための公演などが行われています。

日本の他に狂犬病を撲滅した国は、ドイツ、イギリス、スウェーデンノルウェー、フィンラドなどがありますが、世界的にはまだ少ないといえます。

狂犬病についての知識

狂犬病の感染源
狂犬病ウィルス(ラブドウィルス)に感染した、イヌ、キツネ、コウモリ、スカンクなどに咬まれると感染します。

人の体内に入ったウィルスは、中枢神経に入り込みます。潜伏期間は1ヶ月ほどですが、1年以上経ってから発症した事例もあります。

狂犬病の症状
咬まれた部分の異常感覚、頭痛、発熱がみられます。その後、不安感、幻覚、興奮、錯乱などの神経症状が現れ呼吸麻痺で死亡します。

人、動物共に狂犬病を発症した時の死亡率は100%。

狂犬病の予防
犬の飼い主は、責任をもって狂犬病の予防接種を受けさせましょう。

そして、狂犬病を持っている可能性があるため野生の動物にむやみに触ってはいけません。

特に海外旅行では野生動物に注意が必要です。

動物に触れることを前提に海外へ行く場合は、狂犬病の予防接種を受けておきましょう。

野生動物から感染するズーノーシスに気を付けましょう

ペット以外の動物からズーノーシスに感染しないために

ペット以外の動物からズーノーシスに感染しないために注意したいことをまとめました。


野良犬や野良猫、人に慣れたタヌキやキツネ、池や沼にいるカメなど野生動物に触らないことが一番大切です。

海外旅行では、日本で発生したことが無いズーノーシスに感染する可能性があります。

旅行先でどのような感染症が流行しているか事前に調べましょう。

カやダニが媒介するズーノーシスについてもまとめましたので参考にしてください。

 

海外旅行では特に動物に注意!こわいズーノーシスが流行しているかも!?

日本では感染することがないズーノーシスでも、海外では流行していることがあります。海外旅行では特に生水に注意が必要です。

レプトスピラ症というズーノーシスは、梅毒と同じ仲間の細菌が原因で起こります。家畜やペットが保菌している可能性があり、保菌動物の尿と一緒に排出されます。

ブラジル、タイ、マレーシアなどの河川から感染することがあります。

レプトスピラ症の原因となる細菌は汚染された河川の水から、人の皮膚に進入して感染します。(健康で無傷の人の肌にも進入!!)

クリプトスポリジウム症というズーノーシスは、クリプトスポリジウムという原虫が原因で起こります。

子牛、子豚、イヌ、ネコ、ネズミなど、感染している動物の便と一緒に排出されます。クリプトスポリジウムは塩素に強く、水道水(飲用水)から見つかった事例があります。海外旅行では、ボトル飲料を持ち歩くと安心です。

アフリカ旅行で注意したいズーノーシス

エボラ出血熱(サルが原因と考えられている)
ラッサ熱(マストミスというネズミの仲間)
クリミアコンゴ出血熱(ヒツジなどの家畜、野生動物)

 

オーストラリア旅行で注意したいズーノーシス

ヘンドラウィルス感染(コウモリ、ウマ)
リッサウィルス感染(コウモリ、げっ歯類)

東南アジア旅行で注意したいズーノーシス


ニパウィルス感染(オオコウモリ、ブタ)


海外旅行では、野生動物には触らないように気をつけてください。
出発の前には正確な情報を集めることをお忘れなく。
参考webサイトURL

FORTH|海外感染症発生情報

国立感染症研究所

動物検疫所ホームページ



猫ひっかき病について

猫にひっかかれると感染する猫ひっかき病の原因とは

猫ひっかき病は、バルトネラ・ヘンセレという細菌が原因で感染します。

ベルトネラ・ヘンセレの保菌率は約7%といわれ、全ての猫が感染しているわけではありません。

猫ひっかき病の感染源、症状、予防について

猫引っかき病の感染源:バルトネラ・ヘンセレは猫ノミが持っている菌です。
猫ノミから感染した猫にひっかかれたり、咬みつかれることで人に感染します。

猫ノミが人を刺すことで感染することもあるようです。特にノミの繁殖期である夏から秋にかけて感染経路が広がり、猫ひっかき病の発症が多く見られます。

猫ひっかき病の症状

猫にひっかかれたり、咬みつかれたりすると、数日から数週間の間に傷口が赤紫色に腫れたり、膿んだりすることがあります。

他のケガ・傷よりも治りが遅いと感じる人が多いようです。しばらくすると、リンパ節が腫れ、痛みを伴うようになります。

猫ひっかき病と診断された85%以上の人に、リンパの腫れと痛みの症状がみられるそうです。

この他に、発熱や頭痛を感じる人もいます。

猫ひっかき病の予防

バルトネラ・ヘンセレは猫の爪や口の中に存在します。

猫に引っかかれないように爪は短く切っておきましょう。

口移しで食べ物を与えたり、猫が毛づくろいをしている時に手を出してはいけません。

また定期的なノミの駆除をし、猫の衛生状態に気をつけることが大切です。

犬も原因動物になることが分かっているので同様の注意をしてください。

ズーノーシスって知っていますか?


犬や猫をはじめとする動物から人にうつる病気のことをズーノーシスといいます。

ズーノーシスとは動物由来感染症人獣共通感染症とも言われています。現在の日本では3人に1人がペットを飼っていると言われ、ズーノーシスは他人事ではなくなってきました。数年前に流行したBSE牛海綿状脳症)、SARS重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザなども人への感染が危惧される病気の発生が続きました。犬や猫などペットを飼っていない人もズーノーシスに感染する可能性があるのです。

一度は聞いたことがある狂犬病やサルモレラ菌なども数あるズーノーシスのなかの一つです。

かわいい犬や猫はもちろん、カメやトカゲなどの爬虫類を買うときには、その動物がどのような細菌や病原体をもっているかわからないので、飼うときには衛生面に十分気を付けることはもちろん、犬や猫の場合は動物病院で定期的な検査をしてもらうことが大切です。

狂犬病鳥インフルエンザなど人の命をを脅かす可能性のある怖い病気も数多くありますので、正しい知識や予防方法をしっかり学んで病気にかからないようにしましょう。

また、ペットではなくてもノラ猫や他人の飼っている犬、または自然の中で暮らす野生の動物にも注意を払う必要があります。


ペットを飼っている方、これからペットを飼う予定の方の参考になるよう、ズーノーシスの症例や感染ルートについてまとめました。

予備知識があれば、人やペットの異常にすぐ気づくことができます。ズーノーシスのことを知り、動物やペットとの付き合い方を再確認しましょう。